
© 2016 初野晴/KADOKAWA/ハルチカ製作委員会
アニどう評価:
2016年1月からワンクールで放送され人気を博した【学園青春×ミステリー】アニメ、『ハルチカ』。
原作小説から始まり、コミック化、アニメ化、実写映画化と破竹の勢いで知名度を上げていったことは記憶に新しいですね。
人が死なないミステリーだけど奥が深い。学園青春ものとしての出来もよし。
類似アニメとして『氷菓』を思い浮かべた人もいるのではないでしょうか?

物語の舞台が高校生活というだけで、そのストーリーの軸は氷菓とは全く似ても似つかないものになっているぞ。


『ハルチカ』アニメ版のあらすじをネタバレなしで紹介!
主人公は穂村千夏(チカ)、上条春太(ハルタ)。幼馴染であり、ともに高校一年生。

© 2016 初野晴/KADOKAWA/ハルチカ製作委員会
物語はスポーツ女子であったチカが吹奏楽にあこがれて吹奏楽部の門を叩くところから始まります。
動機は少々不純なもので、可憐な女子高生になりたい、吹奏楽部の顧問『草壁信二郎』に恋焦がれて・・・というものなのですが・・・。

© 2016 初野晴/KADOKAWA/ハルチカ製作委員会
そこで再開した幼馴染のハルタ。実は彼も顧問の草壁に想いを寄せているというのだから驚きです。
お互い抜け駆けしない!という変な約束をしてチカの吹奏楽部としての高校生活がスタートしました。
吹奏楽部の目標は吹奏楽の甲子園『普門館』の舞台で演奏すること。

© 2016 初野晴/KADOKAWA/ハルチカ製作委員会
ところが、部員は高2の『片桐圭介』、『朝比奈香恵』、『朝比奈紗恵』、ハルタとチカを合わせてもたったの5名。
普門館を目指すには30人の演奏者が必要とされているため、吹奏楽部として廃部寸前という危機的状況に陥っていたのです。
チカとハルタは部員勧誘のため奮闘していくさなか、吹奏楽に精通した高い技能を持っている生徒たちに出会っていきます。
ただ、彼らの勧誘は容易ではありません。
それぞれ、家庭環境や心に大きな悩みを抱えており吹奏楽をやれる状況にはなかったのです。

© 2016 初野晴/KADOKAWA/ハルチカ製作委員会
『成島美代子』は病気で失った弟が残した”絶対に解く事ができないパズル”を罰と捉え、心を閉ざしています。

© 2016 初野晴/KADOKAWA/ハルチカ製作委員会
『マレン・セイ』は養子に出され実の親と離れ離れになっています。自身が両親から愛されていなかったのではと悩んでいます。

© 2016 初野晴/KADOKAWA/ハルチカ製作委員会
『後藤朱里』は”ベトナムから帰国し記憶喪失になった祖父”が体験してきたことが気になってしかたがありません。

© 2016 初野晴/KADOKAWA/ハルチカ製作委員会
『芹澤直子』はプロを目指すクラリネット奏者。アンチ吹奏楽でとても勧誘できる雰囲気ではありませんが、実は大きな悩みを抱えていました。

© 2016 初野晴/KADOKAWA/ハルチカ製作委員会
『檜山界雄』は不登校になっている打楽器奏者。吹奏楽部に誘うには彼を学校に戻さなければなりません。
ハルタとチカは一癖も二癖もある彼らの謎や悩みを推理し、解決していくことになります。
驚くべきはハルタの鋭い洞察力と推理力。
名探偵ばりの観察眼で次々と難問を解き明かしていきます。
そしてチカの人懐っこさと優しさが閉ざしていた彼らの心を解きほぐし信頼を勝ち得ていきます。
スタートから波乱の吹奏楽部は無事部員を獲得し、大ホールでの演奏という夢を叶えることができるのでしょうか・・・?
アニメ無料視聴サイトおすすめ
アニメを見るなら?
5分以内に視聴開始できるサイトを紹介しています。
注!)ハルチカはミステリーです。実写映画版に注意!
さて、ハルチカのみどころを紹介する前に前置きしておかなければならないことがあります。
それは、先に実写版映画の存在を知ってしまった人。

このハルチカに限っては注意が必要だ。


原作でもアニメ版でもハルタは男でありながら吹奏楽部顧問の草壁先生(男)に想いを寄せているはずなのだが・・・。


ストーリーはチカとハルタ関係の変化とチカの演奏技術の成長を描く青春ものとして描かれているんだ。
恋愛要素などほとんど出てこず、重厚な謎解きものとして楽しめる作品のはずなんだけどな・・・。



ハルチカのみどころ!ミステリーとしての評価は?

© 2016 初野晴/KADOKAWA/ハルチカ製作委員会
冒頭でちょっと触れた『氷菓』ですが、ハルチカとは全く関係のない別の作者による別の作品です。
-
-
氷菓:アニメのあらすじは?血腥くないミステリーでも評価は高い!
©米澤穂信・角川書店/神山高校古典部OB会 アニどう評価: 「私、気になります!」 廃部寸前の神山高校『古典部』を舞台に繰り広げられる【学園青春もの×ミステリー】の名作と言えば間違いなく『氷菓』です。 ...
続きを見る
学園の部活動を舞台とした青春×ミステリーなので、ハルチカの類似アニメとして触れられることが多いんです。

あの人が抱えてる悩み、あの人の謎を知る。といった内容のミステリーだな。


一つ言えるのはどちらも良く練り込まれた話だし、甲乙つけがたい名作だということかな。


どこでそんな知識やネタを仕入れて来てるか?っていうくらい種明かしの部分は驚かされる内容になってるからな。


もし解けたとすれば、その人は相当な雑学王だろうねw




周りの大人(草壁先生達)のフォローがあるから成長していける。そんな構図がリアルに描かれている。



クロスキューブ

© 2016 初野晴/KADOKAWA/ハルチカ製作委員会
吹奏楽の全国大会に出場経験があるオーボエ奏者『成島美代子』。
ハルタたちはなんとしても彼女を部へ勧誘したいのですが、彼女は「二度と吹奏楽はやるつもりがない」と冷たい態度。
なぜ成島はそんなにも冷めてしまったのか?
調査を進めるとわかったのが彼女は弟を重い病気でなくしたこと、そして吹奏楽のせいで弟の死に目に立ち会うことができなかった後悔を抱えていることを知ります。
それでも前を向いて欲しいと願うハルタとチカは成島を説得しに行きますが、彼女が吹奏楽に復帰するための条件としてあるパズルの解読を依頼されます。
そのパズルは全面が真っ白に塗られたルービックキューブ。
復帰するつもりなどさらさらない成島はハルカとチカに絶対に解けないパズルを渡してきたのです。
パズルの作成者は死んだ成島の弟。
成島は真っ白なルービックキューブは弟が自分に残した足枷。
吹奏楽にうつつを抜かし弟の死に目にすら立ち会えなかったことへの罰と捉えていたのです。
しかし、ハルタとチカはこのルービックキューブにあるメッセージが隠されていることを突き止めます。

でも、このキューブはちゃんと完成形が存在するんだ。
ヴァナキュラー・モダニズム

© 2016 初野晴/KADOKAWA/ハルチカ製作委員会
姉の勧めで、新居を探すことになったハルタ。
予算にあったアパートをやっとの思いで見つけたのですが、家賃の割には広く、きれい過ぎる部屋に怪しさを覚えます。
聞けばそこはいわくつきの物件。
夜な夜なお坊さんが持っている錫杖(しゃくじょう)のような金の音が鳴り響く不気味なアパートだったのです。
オーナーに話を聞くと、入居希望者もおらず、税金も払えないため近々売却してしまおうか悩んでいることを知ります。
どうやらアパートを立てたのはすでに他界したオーナーの叔父。
人を驚かせたり、楽しませたりすることが好きだったと話すオーナーが見せてくれたのは巨大な鍵。
アパートと一緒に死んだ叔父が残してくれたものだと説明してくれます。
夜中に響く錫杖の音・・・巨大な鍵・・・人を驚かせる・・・この3つのキーワードからハルタはいわくつきのアパートに隠された本当の謎を解き明かします。
彼らが最後に目にしたものはオーナーの人生をひっくり返すほどのとんでもない物でした。

アパートを立てた叔父の性格がヒントだね。
ハルチカのみどころ!青春ものとしての評価は?

© 2016 初野晴/KADOKAWA/ハルチカ製作委員会
アニメ『ハルチカ』にはちゃんと軸になるストーリーがあり、毎回意味もなく探偵まがいなことをしているわけではありません。









青春ものとしてみるならこの過程がそれにあたるね。

で、結局恋愛要素はあるの?

© 2016 初野晴/KADOKAWA/ハルチカ製作委員会



先生を想って胸が苦しくなるみたいな重苦しい恋愛感情があるわけじゃない。


© 2016 初野晴/KADOKAWA/ハルチカ製作委員会

だからこそ、ヒーローであるハルタに

ハルチカ原作小説との違い



角川文庫から出てる一般文芸だね。
で、どうだい?感想は?

ハルチカ原作とアニメの違い
- 朝比奈香恵、朝比奈紗恵はアニメ版オリジナルのキャラ
- アニメ版第一話はアニメオリジナルストーリー
- 各エピソードによって行動するメンバー編成が違ったりする。


© 2016 初野晴/KADOKAWA/ハルチカ製作委員会


多分、そこにいるw


アニメでは入部するエピソードが1話目に来てるから、これはアニメオリジナルストーリーなんだよ。
ちなみに原作小説の1話目も特殊で、こちらはアニメ版にはないエピソードなんだよね。


完璧に再現できてると言っていいんじゃないかな。




物語の軸はあるけど、一つ一つのエピソードを区切りながら時間が進む感じかな。


これらをアニメでは1話づつ、30分アニメでまとめるからけっこう駆け足なんだよね。


重要なところは一切省いていない。でも、ちょっとした間、移動、行動が省かれているから原作小説を読んだあとだと早送りで見てるみたいな感覚にはなるよね。
もし24話編成でやっていればもっと良いアニメになったと思うよ。



ハルチカ原作小説『退出ゲーム』
記念すべき第一弾となる小説です。
- アニメ第2話:クロスキューブ
- アニメ第3話:退出ゲーム
- アニメ第5話:エレファンツブレス

アニメ版にはないエピソード『結晶泥棒』が第一話として収録されています。
ハルチカ原作小説『初恋ソムリエ』
ハルチカ原作小説第二弾ではハルタ、チカ共に高校二年生に進級しています。
- アニメ第6話:スプリングラフィ
- アニメ第7話:周波数は77.4MHz
- アニメ第9話:アスモデウスの視線
- アニメ第8話:初恋ソムリエ


エピソード毎のメンバー編成が違うというのはこういう影響から出ているんだよね。

ハルチカ原作小説『空想オルガン』
原作小説第三弾はアニメ版エピソードの最終話まで収録されています。
ハルチカの一つの区切りと言っても良いでしょう。
- アニメ第10話:ジャバウォックの鑑札
- アニメ第4話:ヴァナキュラー・モダリズム
- アニメ第12話:共鳴トライアングル


アニメ最終話と原作の違い
アニメ最終話『共鳴トライアングル』は原作では『空想オルガン』というタイトルがつけられています。
地区大会、県大会を突破したチカ達がついに東海大会に進出。アニメとして最終話にふさわしいエピソードです。
アニメ版はその大会の様子と結果を描き、話を締めくくります。
でも、この話で本当に描かれなければならないのはそこではありません。
原作では3つの視点からストーリーが複雑に交錯する話になっています。
『あるオレオレ詐欺グループの担当者』

© 2016 初野晴/KADOKAWA/ハルチカ製作委員会
『芹澤直子のある決意』

© 2016 初野晴/KADOKAWA/ハルチカ製作委員会
『吹奏楽部の東海大会の様子』
その全容はとても30分アニメ1話に収められる話ではありません。
アニメ版ラストシーンで、芹澤はチカにある決意を口にしますが、原作小説『空想オルガン』を読むことでその真意が深くわかるようになっています。

ここから先のハルタとチカの活躍をもっとみたい!という人は、『千年ジュリエット』『惑星カロン』『一人吹奏楽部』とぜひ読んでみて欲しい。
ハルチカアニメ第二期ってあるの?








アニメ『ハルチカ』は一晩で楽しめる本格ミステリー

© 2016 初野晴/KADOKAWA/ハルチカ製作委員会
動画配信サイトで一気見すれば一晩ですべて見終わることができるから、週末のお供にぴったりだね。








